

Artwork by affordance
K
Fujisawa
Bread
Market
A market event centered on bread, held at Sun Pearl Plaza near the north exit of Fujisawa Station. Approximately 40 bakeries and food-related shops participate, offering a diverse selection of products. Visitors can enjoy their purchases in a designated picnic area. Based on the concept of “designing the city through markets,” the event contributes to local revitalization.

パン屋から見た藤沢ブレッドマーケット
Eyeʼs from Madame Rouge
文:土屋伸明
(マダムルージュ/ブーランジェ)

©Kadowakamatsu Inc.
土屋伸明 株式会社Vision代表取締役
職人だった父母の背中を見て育ち、25歳でパンの道へ。個人店やホテルなどでの経験を積んだ後に渡仏。パリ15区にあるファブリス・ポチエで修行しながら、フランスのパンと“気取った”フランス文化そのものに大きな影響を受ける。日本に戻り、「地域の生活に根差した、自分の作りたいパン」を目指して、2012年に藤沢でマダムルージュを開業。北海道産の小麦粉を100%使用し、食感のコントラストを追求する土屋のパンは、サンドイッチやヴィエノワズリーなど“大人なテイスト”で、藤沢の女性を中心に多くのファンを持つ。
紹
介
者
紹
介
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ブレッドマーケットが始まったのは2022年12月。初回はコロナ禍でしたが評判が良く、これまでに3回開催されました。パンはコロナの影響をあまり受けないんですよね。西湘にある柑山など、参加するのは有名店が多く、お客様も老若男女さまざま。毎回盛り上がっていて、早いところでは午前中に売り切れるお店もあります。

©Kadowakamatsu Inc.
北口駅前、
パンで藤沢を盛り上げる
Baking Up
Fujisawa
ある時、増田さん(角若松代表)が店に来たんです。「北口でイベントをやりたい」と。駅前広場の改装は確か4年前。とても綺麗になったのですが、あの場所はこれといった活用がされていません。たまに開催されるのは金魚すくいなど、地方色の強いイベント程度。横浜に行けばクラフトビールフェスがあって、グリーンルームがあって、それに対して藤沢にはちょっとやるせなさを感じます(苦笑)。そんな中で「いいイベントを作りたい」とお声がけいただき、すぐに参加を決めました。来年またブレッドマーケットが予定されているので、それに向けたパンを考えているところです。そのときには、チーズとワインがあると嬉しいですね。パンを持ち帰って食べるのではなく、その場で一緒に食べることで、場所とともにパンの思い出ができるから。

©Kadowakamatsu Inc.
中身で気取る、
藤沢のブレッドマーケット
The Bread Market
with True Style
若い人たちに響くマーケットだと思います。DJブースがあって、全体に統一感があるのが良い。他のマーケットはガチャガチャしていて、幟を立てたり、とにかく目立てば勝ちというような、下品な演出も多い。でも藤沢のブレッドマーケットは、大人の雰囲気を残しながら、ちゃんと盛り上がっている。こんなマーケットをつくれる角若松の人たちは、本当にすごいと思います。
パンのマーケットは全国にたくさんあります。パンって集客力がすごいから、いろんな場所でブレッドマーケットが開催されています。僕らも、赤レンガでのブレッドマーケットに出店しました。店を休業して、3日間日中は販売、夜はパンづくりを続け、あまりにハードだったので、その後3日間お休みしました。「やらなきゃ良かったかも」って思ったくらいです(笑)。
それに比べて、マーケット251もブレッドマーケットも特別です。気取っているんです。一店舗ごとにきちんと個性があって、パンづくりにプライドとこだわりを持った人たちが出店している。人数合わせで集めたような出店者はいませんし、いいパン屋を丁寧にリサーチして声をかけている。だから安っぽくないし、お客様もそれをちゃんとわかっている。商品であるパン自体に、出店者ごとの違いがしっかり出ていて、これが一番大きな特徴だと思います。

©Madame Rouge
マダムルージュと土屋伸明
開業から13年目を迎えたマダムルージュ。パンづくりは、小麦粉、水、イースト、塩というシンプルな材料でも、粉の配合や焼くときの湿度・温度のバランスで味も食感も大きく変わってしまう。しかも、その結果は焼き上がるまでわからない。現時点で自身のパンに対する評価は「70〜80点までは来ているが、理想にはまだ遠い」と語る。
「理想にならなかったら、また試行錯誤します。」
バゲットの歯応えを残しながら、もっと軽い食感にできないか――日々試行錯誤を続けているが、土屋はそのプロセスを誰よりも楽しんでいる。
“赤い貴婦人”という店名には、土屋の妻の名前、情熱の赤、2つのモチーフが込められている。実は、開業の1週間前までは別の店名を考えていた。ものづくりの哲学を反映した気に入った名前であったが、スタッフにも言いづらいことに気づき、現在の店名にギリギリで変更したという。その行動力とネーミングセンスには、土屋が目指すパンのあり方と、そのプロセスを楽しむ姿勢がよく表れている。
Interviewed by Tomodachi ltd.