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Artwork by affordance

K

Fujisawa
MARKET
251

A fresh market selling local ingredients and specialties that is held on the third Saturday and Sunday of every month (cancelled in case of bad weather) from 10:00 to 16:00.

©Tomodachi ltd.

サラリーマンから部活帰りの中学生まで、
老若男女が集まる藤沢MARKET251

Eye’s from ATSUYA

文:佐藤敦子
(篤家)

©Kadowakamatsu Inc.

佐藤敦子
「篤家(あつや)」代表。ブライダル業界でサービス職に従事する傍ら、2010年に葉山の古民家を活用したフリースペース「篤家」をオープン。2011年にはカンボジアの胡椒に魅了され、伝統農法に基づく自然栽培の胡椒の取り扱いを開始。2016年にはフリースペースの運営を終了し、カンボジア産商品の販売を中心とする小売業へと業態を転換。カンボジアの胡椒を“日本の身近な調味料”として広めることを目指し、KITTE前地下広場マルシェやMARKET251などを中心に各地のマルシェに毎月出店している。





老若男女が集まる
MARKET251

MARKET251
for All Ages

まずは私の商品からお話しすると、カンボジアの様々な胡椒を取り扱っています。とある美味しい胡椒と出会い、カンボジアに行って、現地の人に会って、話を聞いて、胡椒の販売を始めました。でも、いきなりお店を出せるわけでもなかったので、都内のマーケットに出店するところから始まりました。

MARKET251は、駅前で行われているセンスの良いマーケットです。開催タイミングは、11月から4月までが日中に開催されるMARKET251、5月から10月までは夜に開催されるNight Marketになっています。出店者の特徴は、藤沢、湘南エリアならではの地域性があって、個性的です。駅前という立地が影響しているのか、いらっしゃるお客様は老若男女。中学生から若い方、おじいちゃんやおばあちゃん、さらにはサラリーマンの方まで、幅広いです。生活に根付いた人たちが多く、みなさん食に対して意識の高い印象があります。良いものをしっかりと知って買いたいという意思がしっかりしているので、私も説明しがいがあって、お客様との会話が弾みます。

©ATSUYA

マーケットでの
一期一会

One-time Encounters
at the Market

冒頭に話した胡椒の商売を始めるきっかけになった出会い、それは私が販売している「生胡椒の塩づけ」でした。とある横浜のフードイベントで、友人とともに販売の手伝いをしていました。その休憩中に、生胡椒を試食したんです。実は、私は辛いもの、香辛料が苦手。嫌いだったのに、食べた一粒の胡椒があまりに美味しくて、衝撃を受けました。偶然の出会いとその美味しい感動をみんなに知ってもらいたいと思ったんです。私の胡椒との出会いのように、マーケットもまた、一期一会。お客さんと、他の出店者の人たちと繋がる場所なんです。

お客さまとの繋がりでいうと、私の販売している胡椒をきっかけにして、美味しい食べ方や、相性の良い家庭料理など、食卓の話ができるのが尊いなと感じています。「こんな使い方してみたよ」っておっしゃる方もいて嬉しいです。

一番印象に残るお客様の話で言うと、最年少、きっと中学生。部活帰りかな、集団でマーケットに来ていました。私の胡椒を試食された感想が、「なにこれ、バチクソうめー!」って(笑)。聞き慣れない感想の表現でも、気持ちは伝わりました。しかも、しばらく時間が経った後に、その中の一人が戻ってきたんです。手に五百円を握りしめて、お母さんに買ってあげるんだって。その微笑ましさにとても嬉しくなりました。もしその彼がいつかお店に来たら、何かサービスしてあげなきゃ。

出店者の人たちとの繋がりでいうと、Nagomi.と言うお菓子屋さんの人気のお菓子に、私の黒胡椒を入れたクッキーが定番として商品化されたり、ランティミテ ノマドのおせちに胡椒とのコラボレーションが起きたりもしました。

©ATSUYA

藤沢に根付く
雰囲気の良い場所

Rooted
in Fujisawa

「本(マルシェの作り方:脇坂真吏著、学芸出版社)を読みました。ぜひ出店いただければ嬉しいです。」増田さん(角若松代表)から連絡をいただきました。今まで、脇坂さん(株式会社Agriinnovationdesign 代表)が主催されているヒルズマルシェから、たまプラ、恵比寿ガーデンプレイス、横浜北仲マルシェなど、いろいなマーケットに出店しました。私が出店するマーケットの条件は、イベントではなく地域に根付いていること。もしくは、地域に根付いていけるマーケットであること。葉山を拠点にしているので、それで言うと、MARKET251は場所も含めて条件はぴったりでした。でも、開催されるタイミングが、すでに私が定期的に出店しているマーケットと同じだったんです(MARKET251は毎月第三土曜日と日曜日)。そのため、せっかくお声がけいただき、こちらもぜひ出店したかったのですが、継続して出店できる状況ではなかったので、お断りしないといけない状況でした。そうしていたら、出店しているマーケットの開催タイミングが月2回に増えたんです。毎月第一と第三になったので、そのマーケットの出店を第一にしてもらいました。それで、晴れてMARKET251に出店できるようになったんです。

そうそう、出店のもう一つの条件があって、それは「コンセプトが合う」こと。マルシェの規模ではなく、全体を見た時の雰囲気が良いかどうかはとても大切だと思っています。それで言うと、MARKET251は、コンセプトがしっかりしています。私のお店づくりは、“ヴィレバン(「遊べる本屋」をキーワードに、本、雑貨、音楽関連のさまざまな商品をカテゴリーミックスで陳列し販売するサブカル代表ショップ)”のようなごちゃごちゃ感。胡椒だけだとどうしても地味になってしまうので、季節に合わせた料理の写真をディスプレイに飾っています。「Pepper」と「Cambodia」がセットのワードを看板に掲げています。カオス感を出していますが、MARKET251のルールはちゃんと守っています(笑)。
私が取り扱っているのは、胡椒。アジアの文化に興味のある人が多いとか、アジアな雰囲気のマーケットだと相性が良いんです。葉山エリアでも興味のある方はいらっしゃいますが、やはり湘南エリアで広めたいと思っていました。そんな中でお声がけいただいて、藤沢、湘南エリアのマーケットとして251はピンと来たんです。一旦出店は見送ったものの、改めて出店できることになって、しかも、本当に幅広い人たちと繋がることができた。いつか、横須賀あたりで店舗を出すのも、なくはないかもしれません。でも、マーケットへの出店を止めるつもりはありませんね。やっぱりマーケットって良いなと思っています。

About ATSUYA

1653 Akiya, Yokosuka City,
Kanagawa Prefecture

atsuya.official.ec

©Tomodachi ltd.

佐藤敦子と篤家

「一粒の胡椒が変えた生き方」

辛いものが苦手だった佐藤にとって、あるイベントで出会ったカンボジア産の胡椒は、まさに「衝撃的な味」だったという。その出会いをきっかけに商売の方向性を定め、知識を深めるために現地カンボジアを訪れ、生産者たちと意見を交わすようになった。生産者の多くは佐藤と同年代であり、ポル・ポト政権下の虐殺により家族や友人を失った経験を持つ人々も少なくない。佐藤の志は、カンボジア産の胡椒を日本の食卓に根付かせること。そのため、出店するマーケットの条件として重視しているのが「地域に根差していること」だ。藤沢の郵便番号を冠した「MARKET251」もまた、湘南に質の高い生活文化を育む場であり、葉山を拠点とする彼女の思いと共鳴したのだろう。

現地の生産者の中には、胡椒以外にもコーヒーの栽培などにも取り組む人がいるという。カンボジアと日本を胡椒でつないできた篤家が、やがては湘南・日本の食卓を、胡椒以外の品々でも結んでいく日を楽しみに待っている。

Instagram

MARKET251

Interviewed by Tomodachi ltd.